感想や記録

舞台や映画、DVDなどの感想をつらつらと。

shape

2022.6.19

シアターモリエール

 

ちょっとこれは、何と表現したら良いのだろう…

とりあえず、ラストゾワっとした。

けど、ああ、何かそういう人なんだな、という一種の諦めというか何というか…

何かに、誰かにすがってないと生きられなくなってしまった人。

 

あの町の人たちは優しくて、その優しさのありかたは人それぞれで。

浩さんが望むようにしてあげてる店長は優しいけれどそれが本人にとって最善ではないかもしれない。

浩さんとミカさんを目の敵のようにして強い言葉をかける佐藤さんは厳しいように見えるけど、それを言ってくれる人も必要かもしれない。

あの人たちの中では、坂本くんが一番割りきって接してるように見えて、まとも(というか、見ている私の感覚に近いところにいる)のかなと感じました。

雪ちゃんに対して極めて普通に接しようと努めて、実際そうしてて。でも、浩さんと雪ちゃんが話してるところでは複雑そうな顔や無の感情を向けてたり。

ユキちゃんの手を引いてお店に連れていくところ、手首を掴んでたので坂本くんのイメージはそうなってるのかと。

パチンコでお金すっちゃうし、ギャンブルに取りつかれちゃってるけど。

ユイちゃんがいて良かったね。

今回はチャラチャラ役の前川くんだ~と思って観てましたが、ミカが帰った後の喫茶店で急に真面目にユイと話してたり、(統合失調症のこと理解してたり、)浩さんがパニックになった時にちゃんとユイちゃんかばってたり、根はしっかりした奴なんだなーと思ったりしました。

パンフのインタビュー見たら、実年齢とかけはなれた役って言ってたけど、いくつの設定だったんだろ。

 

客席にいた私たちには常に人間に見えていたユキちゃんは、崇さんや坂本くん、ユイちゃんには人形に見えていたということは、客席の視点は浩さんと同じ?

最後の首が落ちるところで、客席は現実に戻されたけど浩さんはずっと変わらないまま。

きっと、ミカさんが津田先生に電話をかけることももうない。

心に引っ掛かってはいるだろうし、ふとしたときに気にかかるだろうけど、それでおしまい。

 

坂本くんの「ダメだよ」がとても好き。

雪ちゃん、基本的に「お腹空いた」「遅い」とパパを励ます言葉しか言わないんだよね。

首絞められて浩さんに寄り添える坂本くん、いい奴すぎんか?

マジ崇さん、何があったんだ…。

最後の話しかけてるミカさんは浩さんの妄想なんだよね。

ということは、実際に話してるのは津田先生?

津田先生と会話しながらミカさんの幻影を見てる?

雪はいらないの?

パパは大丈夫だよ

の後のそっか。パパは強くなったんだね

のとこは、浩さんの妄想だから切り替わったのかな?

切り替わったあとの雪ちゃんは想像じゃなくて生きてた頃の雪ちゃん?

見えるものが違ってきてる高村さん、雪ちゃんのときは自分の子供時代を重ねてて、ミカさんになったらちょっと大人になった。

 

個人的には、坂本くんが一番フラットに現状を理解して考えがあってあの振る舞いをしている感じがしました。

だからこそ、ミカちゃんが帰った後のユイちゃんとの会話だし、雪ちゃんへの接し方なのかな、と。

4年後、坂本くんは就職して外の世界に出てるけど、ユイちゃんは高村さんや崇さんを振りきれなくて一緒に町に残ってるのかなぁと思ったりしました。

坂本くんは、この町はおかしいと思ってる気がするんだよね。

 

佐藤さんが浩さんに優しいのは、佐藤さんから見て浩さんが下の存在で(仕事として)守るべき患者だからなんだろうな。