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劇団ノーミーツ むこうのくに

***ネタバレを含みます。ネタバレを回避したい方はお気を付けください***

 

@オンライン 2020.7.24   7.26

 

劇団ノーミーツ第二回長編公演「むこうのくに」観劇。

Twitterの「だるい上司との打ち合わせを回避する方法」で面白いなー、と思って、前回の「門外不出モラトリアム」 でチェックするようになった劇団。前回も面白かったし、推しはいない(鍜治本さんは好き)けど見ようと思って早々に予約。

 

いざ見たら前回公演からの期待を大きく超えてきた。演出もストーリーもめちゃめちゃ面白かった。そして、前回から大幅にアップデートされたシステム面。リモート演劇なのにカメラワークがあるってどういうこと…?

配信によると、カメラが4台あったり、役者さん自身でロボットアームを操作してカメラワークを実現させてたり、遠隔で操作してたり…。ものすごい技術の使い方…。最高です。

カメラや照明の設置もノーミーツでやったというから徹底してる…。もはやくるってます(笑)(←ほめてます)

 

今回の舞台はオンライン上に構築されたSNSサイト「ヘルべチカ」観客もヘルべチカにログインするところから物語がスタート。

開演するとDJめがねがヘルべチカのルールを説明してくれる。この日は集会の日。幹部らしきバトラー、ピコ、リィン・カーネーションが登場。

ここで、エモーションバーの説明。観客が投票した気持ちが実際に反映されていてお見事でした。観客参加型すごい。オンラインならではって感じ。

チャットで、賛否じゃなくて感情で集計することで炎上するのを防いでる、みたいに考察してる方がいて、怖っ…て思いました。

そのころ、マナブは自分のところからいなくなってしまったAIのReinを探し、掲示板に書き込んでいる。それを見て声をかけてくる鈴。

鈴の仲間のフランカーたちが出てきたり、裏で暗躍してる政治家たちがいたり、それを捜査してる刑事がいたり。様々な登場人物が出てきて、それぞれの物語を生きる。

 

鈴ちゃん(尾崎由香さん)がめちゃめちゃ可愛い。声優さんなだけあって、とても聞きやすい声。リィンと混ざるところが本当に切ないんだけど、ストーリーに説得力を持たせる演技力。

話し方も動きもAIなのに、最後の「私と友達になってくれて、ありがとね」の部分だけ鈴に戻るのずるいよね。こんなの泣いちゃう。

チャット欄見てると、「鈴は服が変わらないからAIじゃないか」って言ってる人もいたし、チャットの考察すごかったなあ。(集中して観ながらチャットできない人です(笑))

 

めがねちゃんのDJ、とても良かった。しっかり世界に引き込んでくれる。ヘルべチカがファイアウォールに包まれたあと、ピコとバトラーが心配だから残ってたけど、ログアウトするって言ったときのめがねちゃんカッコよかった。仲間思いで素敵なめがねちゃん。その後、Futura.でもDJやってるのめちゃめちゃ良い。

食べてたパンで「むこうのくに」作るの最高です。

 

綾小路先生(Wキャスト)と氷室さんも良かった。氷室さんの闇落ち演技すごすぎる。遠隔カメラで氷室さんの部屋が映ったとき、セリフないのに狂気を感じたし、ラストの追いつめられるとこのメイクのインパクトがすごかった。

キャストさんによって、綾小路先生と氷室さんの関係が違って見えた。

青山さんの時は、氷室さんは綾小路先生のことが好きだったのかなって感じた。かなり慕ってる感じで、自首したときに裏切られたように感じた風に見えた。こういう事態を引き起こしたヘルべチカに復讐してやるって感じ。

淺場さんの時は、尊敬してる上司って感じ。綾小路さんが辞めることは望んでなかったけど、こうなった以上は一人でもヘルべチカをぶっ壊すっていう風に見えた。

青山さんの時は綾小路先生への強い思いが故の復讐で、淺場さんの時は純粋にヘルべチカが憎いってイメージ。

ダブルキャストだからこその解釈の違いが面白かったです。綾小路議員役のお二人の演技はもちろん、水石さんの演技力も相まっての見え方なんだろうと思います。本当にすごい。

水石さん、ノーミーツの作品にいくつか出てるらしい。どれだろーって思ってたらチャット欄で教えてくださった。自粛期間の恋人のやつ、見てたわ!もう一回見た。あとシャツのCMもめっちゃ見てる。穂先くんも出てるし。どっちも好き。小御門さんの脚本めちゃめちゃ良い。

今後、水石さんに注目しそうなくらい引き込まれました。映像メインでの活躍が多いのかな。

 

フランカーのチーム感も良き。みんな良い子たちだし、リーダーのゲンさんはかなりしっかりした大人の人。初めて会うマナブにちゃんと自己紹介したり、刑事さんにも自分から挨拶する。ちょっと行き過ぎたいたずらをしそうな仲間はしっかりと窘めることができる。尊敬すべき大人。周りにこんな人いてくれるといいよね。

マミちゃんはひたすらに素直ないい子なんだろうなーって伝わってくる。ソウスケは仲間思い。「マナブが呼んだから来たんだよ!」って最高かよ。タイチは行き過ぎたいたずらをしちゃうけど、ちゃんと反省できる子。いなくなった鈴を心配できる子。

フィルターを付けるヘルべチカに対抗する、フランクな人たち。ネーミングセンス最高。

みんな素敵すぎる。特にソウスケとゲンさん好き。

ソウスケ役のそらさんとゲン役のオツハタさんは、打ち上げ配信でも絶好調でしたね(笑)めちゃめちゃ楽しそうだった(笑)

オツハタさん、水石さんのコメントのときに水石さんがZOOMのアイコンに被らないようにカメラ切ったり、戻ってきた後どうやらそれに気が付いてちょっと会釈して水石さんに向かって手をひらひらさせたり、最後にスタッフさんからのカンペ読んでる小御門さんをフォローしたり、本当に素敵な方だなって思いました。

むこうのくに と違うけど、YouTubeに上がってたオツハタさんの英語がカッコよかった。

 

ピコとバトラーも色々な思いを抱えているのが人間っぽくて好き。

個人的には、最初のエモーションバーでの投票の時、バトラーが迷わず😊だ!って言ってるのに対してピコが迷ってるシーンが好き。バトラーが頭から否定しないところに信頼を感じた。

リィンもいかにもなAIのリーダー感があって好き。安藤さん、慣れない機材を使って演じられていたそうで、本当にすごいな、と尊敬しました。

 

刑事さんたちのバディ感、めちゃめちゃ良い!あんぱんチケット送るところ最高だし、そのチケットの影響であろう、あんぱんを食べてるコトリさん、素敵じゃないですか?

マナブを連れていくシーンの桃フィルター小林刑事、めちゃめちゃ笑った。本人は警察手帳出してるつもりなのに全然見えないとこ、リアルだよね(笑)

コトリさんを見守りながらサポートする感じ、良かったです。

議員チームとの直接対決も、照明で対比が作られてて本当にお見事。

 

でも、やっぱり鈴ちゃんが好き。全員大好きなんだけど、鈴ちゃんの可愛さに完全にやられました。

本当に最後のシーンが大好きで、今でも思い出すと尾崎さんの声で再生される。尾崎さん、すごい人です…。

追加公演、この鈴ちゃんを再度見るために申し込んだ。楽しみです。

 

キャラクターが全員メインだった。ストーリーとしては主人公がいるし、ヒロインがしっかりいるんだけど、主役じゃないキャラクターの背景や性格もしっかり見えて、全部のキャラが愛しい。

これはオンライン演劇という形だからできることなのかなぁと思った。

劇場で生で観てたらやっぱり好きな人に注目したくなっちゃうし。オンライン演劇という、全員の顔が同じ大きさで観れる形だからこそ、全員に注目できたのかもしれないと思いました。

 

本当に素敵な作品でした。チケット買う前に一瞬だけ迷って、特典付きチケットを買った自分は間違ってなかった!

前作の「門外不出モラトリアム」、新作の「むこうのくに」、どちらもとても面白く、これからも本当に楽しみです。

円盤になったら欲しいくらい。

ネットプリントで配信されたフライヤーもすごく素敵。

システムも前回からかなり進化してたし、役者さんも脚本も素敵だった。

 

全然まとまらないし、語彙力が無いから同じことばっかり書いてる!!(笑)

とにかく、とても面白い作品でした。

新しい形のエンターテインメント。これからも楽しみです。

 

スクショ、乗せようと思ったけどブログに載せるのがオッケーか分からなかった…笑

 

#むこうのくに 

#劇団ノーミーツ